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アラブ料理ってどんなもの?

アラブ、アラビア、アラビアンナイト・・・アラブという言葉を日本で聞く機会は多くないかもしれません。

「アラブ料理」といってもどんなものか想像すらできない方がほとんどではないでしょうか。

 

アラブとはアラビア語を話すアラブ人の総称で、アラブ料理はアラブ人の料理です。

北アフリカのモロッコから、中近東のアラビア半島にある国々まで、それぞれの地域の郷土料理の総称が「アラブ料理」です。

 

 

アラブ人の住む地域

 

アラブ人は主に中東から北アフリカにかけて暮らしており、アラブ諸国は約22か国あります。22か国もあるので、その国ごと、さらにはその国の中の地域ごとの地理、自然環境や、過去の歴史があります。当然のごとく、アラビア語が共通語といっても地域ごとの方言があり話す言葉は少しずつ異なります。食文化についても同様に、そこには特色が大きく分かれています。

 

レバント地方と言われる東アラブ、サウジアラビアを中心とするアラビア半島、ナイル川の恩恵を受けたエジプト、日没の意味を示すマグレブのあるモロッコなど。これらに共通するのは全てアラブ諸国であり、イスラム教の教えが基礎にあります。それゆめ、イスラム教の戒律が食文化の基盤であり密接に関わります。

 

 

スパイスを運ぶ行商人

 

アラブの国々はその地理的背景から、スパイスをよく使います。スパイスはかつて、インドや東アジアで植物として栽培され、その効果により食べ物としてだけではなく、香料や漢方の面でも価値が高く、古代から繁栄していた欧州地域へ高値で取引されていました。

 

そのため、スパイスを使った料理が数多くあります。そこに、砂漠地帯でも長期保存がきく豆類、オアシスで栽培される野菜やハーブなどが用いられ、ハーブやスパイスの味付けを中心としたバラエティー豊かな料理が生まれました。

 

特によく使用するスパイスや、クミン、コリアンダー、カルダモン、シナモン、ブラックペッパーなど。ハーブ野菜としてパセリやフレッシュなコリアンダー、ディルなどを用いたり。また、たっぷりのオリーブオイルとニンニクも欠かせません。

 

クミンは消化促進や胃腸の働きを整えます。新陳代謝を高めるためダイエットにも良いと言われています。

コリアンダーは抗菌作用があり、食欲不振時に食欲を維持するためにも使われます。

カルダモンは、リラックスしたいときにおすすめです。アラビア半島ではコーヒーにはカルダモンが必ず入っており、お客様をおもてなしするときには必ずカルダモン入りのアラビックコーヒーが準備されます。アラブ人は、カルダモン入りのコーヒーを飲むとほっと一息、気持ち的にも充足感を得られるようです。日本人にとっての温かいお茶のようなものでしょうか。 

 

 

 

 

ラマダン(断食)期間中の食事

 

ラマダンは1年に一度、イスラム教を信仰する方が行う断食です。ラマダン中は、日中は飲食禁止のため、日が昇る前の明け方と、日が沈んだ後の夕方以降の食事が特徴的にです。

 

まず、日が昇る前の明け方の食事は「スフール」。まだ丑三つ時に起きて1日に備えるために口にするのが、デーツや温かいスープなどの軽食です。口にした後はまた寝ることもあるため、胃腸に負担がかかるものは食べません。エネルギーのあるデーツを奇数いただくことが多いようです。

 

夕方に日が沈んだ後の食事は「イフタール」。1日中飲まず食わずで絶食した後なので、まずは優しいスープなどで胃腸に負担をかけない食事をいただきます。野菜を中心としたレンズ豆のスープや、おかゆなどが多いようです。

続いて、メインディッシュとして豪華な食事が食卓に並びます。隣近所にも配り家族や親せき一同で食事をしたり、大勢で街に繰り出して食べることもあるようです。ラマダンの時期は、人に与えることが良いこととされているため、Giveの精神があふれかえっています。食事後のデザートは甘いものが定番。コナファ、バクラヴァ、カターイフなど砂糖をたっぷり使った甘ったるい感じのデザートが幸せな気持ちにさせてくれます。

 

ラマダンの一か月間は街中も笑顔と飾りつけで溢れ、毎日お祭りのように盛り上がるようです。

ラマダンと言えば断食=辛いものという考えではなく、イスラム教の教えをみんなで守り、周囲の人に感謝する1年の中で一番大切で尊い時期です。

 

2022年のラマダンは4月1日ごろから4月30日まで約一か月間にわたり行われます。ラマダン明けの5月初旬はお正月明けのようなお祭りが続き、新しい洋服を買ったり、たくさん人に会ったりと晴れやかな気持ちでお祝いするようです。

 

 

 

 

アラブ料理の地域性

 

アラブ料理は同じ名前の料理でも、地域によって少しずつ異なります。(日本でいうとお雑煮に入れるお餅や具材に地域性があるようなものでしょうか)

砂漠地帯の多いアラビア半島と、地中海に面したモロッコやチュニジア、リビア、ナイル川の恩恵を受けて繁栄したエジプト、肥沃な土地に恵まれたレバノン、シリアなど。

 

例えば、中東地域で定番で、今や世界中のヴィーガンやベジタリアンの方にも愛されているコロッケ「ファラフェル」は、エジプトでは「タアミーヤ」と呼ばれ、乾燥そら豆とパセリやコリアンダーなどのハーブ野菜をたっぷりと入れるのが特徴的です。

揚げたてを割ると、中は緑色。フワッとハーブやスパイスの香りが広がります。

 

一方、レバノンやシリア、ヨルダンなどレバント地方で作られる「ファラフェル」はひよこ豆を使います。緑のハーブ野菜はあまり使わないこともあり、コロッケの中は薄い黄色で、スパイスの香りに加え、ゴマのタヒニソースをたっぷりかけていただきます。

 

また、マグレブ地方と呼ばれているモロッコやリビア、アルジェリアなどの料理は、無水料理である「タジン鍋」を使った料理が定番です。デュラム小麦で作られた世界最小のパスタ「クスクス」が主食で、オリーブオイルやレモンを使った料理がたくさんあります。

一方アラビア半島では「クスクス」はあまり食べられず、お米やパン、あるいは「ブルグル」というこちらも小さいパスタをサラダやお肉料理に入れて食べられています。

 

アラブ料理教室「Nany's Kitchen」の第2期では、各国の代表的な料理を90分間で3品程度作り、地理的特徴も勉強しながらのレッスンを行いました。まだまだ、奥が深いアラブ料理。また第3期の際には、より詳しく各国料理をご紹介する予定ですので、ご参加お待ちしております!